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2024.11.21
こんにちは、設計の西川です。
今回は「借景」について、お話ししたいと思います。
「借景」という言葉、ご存知でしょうか?
“風景・景色” を “借りる” と書いて、借景(しゃっけい)と読みます。
もとは日本庭園などでも多く使われてきた手法のひとつなのですが、
庭園をつくる際、庭園の中だけでつくるのではなく
その奥にある山々、景色がどう見えるかを含め、木々や水面などの位置やかたちを考える、
言い換えると、遠くに見える山々という背景を借りて、一体としてかたちづくることで、
庭園そのものをより美しく見せるというものです。
もし都会のビル群の中で、その景色や雰囲気を考えずにただ京都にありそうな美しい日本庭園を造っても
果たして本当に美しく見えるだろうか…と想像すると、なるほどなぁと思いますね。
日本庭園のお話しではあまり身近に感じられないかと思いますが、
住まいづくりにおいても、借景は結構使える、身近な手法だったりします。
例えば、リビングなどお部屋の心地よさを考えたとき、良い位置に庭をつくって木を植えて、
それがお部屋から良い感じに見えたら、気持ちいいだろうなと思いますし、
お庭の手入れも暮らしの一部として楽しめたら、なんだかすごく良いですよね。
しかしながら、植栽の管理は案外難しかったり手間だったり、、
あるいはそもそも敷地内に庭をつくるスペースがとれないこともあります。
そんな時には、敷地から見える「良い景色」を見つけて「お借り」するのも、
心地よさを得る方法のひとつです。
遠くの山々や田園風景、公園の木々、街路樹、、
美しく見える位置に窓を設けてお部屋から見えたら、とても心地良いですし、
時には隣のお家の緑をお借りすることも(もちろん視線や気配が干渉しないように…)、
空を切り取るのも良いですね。
少々極端ですが、近くの桜並木が見える、夏には打ち上げ花火が見える、あるいは特別な景色でなくても、
良いなと感じる景色があれば、借景を前提に土地や間取りを決めるのも良いですね。
光や風を取り入れるために設けることも多い窓ですが、
「風景を切り取る窓」としても上手く活用しながら、
心地よい空間づくりとして、「借景」という考え方も大切にしていきたいですね。